☆デジ・トライアスロン日記帳
trix.exblog.jp
100キロサイクルマラソン 自戦記
富士スピードウェイは、新装なってとてもキレイだ。さわやかな空気、富士山、新しい施設。1000台もの色とりどりの自転車と選手たち。否が応でも気分が盛り上がって来た。その後に予想もしない事態が待っているとも知らずに(!)。

[スタート]

11時前。招集の合図がかかり、スタート地点に移動。800人ほどの選手がいるなかで、前の方1/3くらいの真ん中、ナスくんと一緒に陣取る。まあ良いところか。「トップ集団は、2時間ちょっとで100キロを走ります。自信のある方は、前に来てください。そうでない方は、前にくるのは諦めてください」というアナウンスが流れる。私たちを含めほとんどの選手は、苦笑するしかありません。

スタート5分前のアナウンス。突然パーンという音。前の方でパンクだ。その人は、あっという間にパンク修理して、スタート1分前にはもう、スタート位置に復帰していた。神業だ。

私の隣には、2人で参加している男女。女の人は相当緊張しているみたいで、自信なさそうにしていた。一方私の方は、特に緊張するでもなく。さっさとスタートしてくれ〜と、うずうずしていた。

スタート。バイクの先導でスタート。クリートも割と楽にはまる。スタートして500mほどで、鋭角コーナーの第1コーナー。一番落車が起こりそうなところとして、ケアしていたところ。ここは問題なく通過。そこから、一気に500mほど下る。ここがこのコースの最高速が出るところ。下ったところで、やや右カーブするが特段難しいところではない。が、落車だ。

私の数メートル前で、突然落車。ほとんどまっすぐのところなので、落車のケアはしていなかった。3台ほどが巻き込まれて落車。50キロほど出ていて、集団の中なので、左右にも逃げられない。フルブレーキ。そこからは、スローモーションを見ているような感じ。一瞬、止まれるかなと思ったけど、全然間に合わない。転んでいる選手と自転車にまっすぐ突っ込む。自転車も私も身体も転んでる人の上に前転する。やっちまった〜。

と思った矢先。さらに私の後ろから1,2台がつっこみ。私の上に振ってきた。えー、このレースもう終わり。まいったな〜と一瞬思うが、気を取り直して、自転車を起こして再スタートを試みる。自転車はとりあえず無事みたいだ。怪我はない。いや、カカトを強打したみたいで痛いが、放置。なんとか復帰できそうだ。

ボトルとポケットの補給食が散乱している。あわてて拾って、スタート。しようとしたが、ハンドルがひん曲がっていることに気づく。エイっと捻って直す。こんなんで走って、走行中にハンドルがまた曲がったら危ないなと思いつつスタート。が、ダメ。チェーンが外れている。これも直す。

なんとか再スタートしたが、30秒ほどロス。でも、まだ後ろかスタートした選手が走っている中に復帰できた。初めてのレースで、いきなり大落車に巻き込まれるとは。10台ほどが巻き込まれたと思われる。

その周回の途中で、ナスくんに追いつく。聞けば、彼も巻き込まれたらしい。落車時は私より後ろだったが、落車後の復帰は速かったようだ。

さて、最初の登りにかかる。ヘアピン前の坂で、斜度としては、3番目くらい。一番の斜度は、この後に来るシケイン後の坂、そして最後の直線への駆け上がりの坂が2番目の斜度という印象。

1周目は、これらの3つの坂は、あまり気にならずにクリア。落車の分を挽回しなくてはという意識で、自分としてはハイペースで走る。が、抜けない。これまでのトライアスロンの2戦では、基本的に自転車では、どんどん遅い選手を抜かすという感じだったが、自転車レースとなるとそれなりの人が集まっているようだ。

トライアスロンの時は、MTBやシクロクロスバイクなんかに抜かれることは無かった。今日は、違う。どんどん抜かれる。

[2周目--9周目]
1周目のラップは、9分41秒。2周目から6周目まで、8分台のラップ。平均時速が、32-33キロくらい。当初の目標が27キロなので、いいペース。実のところ、時速27キロは、最低目標で、もっと速く走れると思っていたので、タイム的には予想の範囲内。でもいい感じとは全然思えない。回りがもっと早いから。

4-5周回くらいで、もうトップ集団にラップされる。彼らは、6分台で周回している。メイン集団は、大集団だ。100人くらいの見当だろうか。あとは、パラパラと千切れた集団が続く。このレースは、ひとつの100キロレースだが、実態は2つのレースと言ってよい。100キロのロードレースをする人たちと3-4時間の耐久レースをする人たち(私たちはこちらです。もちろん)。
ロードレースの人たちは、基本的に集団で走る。それ以外の人たちは、集団を作りたくてもなかなかペースの合う集団ができない。後半の坂がなければ、集団維持も可能なんでしょうけど、坂でバラバラになってしまうので、実力がない人達の集団走行は、なかなか難しいみたいだ。

20キロくらい走ったところで、早くも脚に痙攣の兆しが出てきた。前回のトライアスロンはスイムで痙攣した。その脚のまま20キロを走ったので、多少の痙攣ならだましだまし行けるし、すぐ直るだろうと思っていたが、徐々に痙攣の度合いがきつくなってきた。用意していた芍薬甘草湯(顆粒)を飲むが効き目なし。

なんとかひどくならないことを祈って行くしかない。痙攣しっぱなしというより、ちょっとでも普通以上の力を入れると痙攣しそうという感じ。そのためダンシングができない。ダンシングをすると太ももも痙攣しそうになる。あと、下り坂などで、高速ペダリングができない。

[10周目--15周目]

そうこうしているうちにペースがどんどん落ちてきた。特に坂で全く脚が動かなくなった。最初は時速15キロほどで登っていたところが、7キロそこそこになってしまう。

ハラヒロとシムが応援してくれている最終コーナーの立ち上がり地点。最初のころは、「ナスくんは?」「1、2分前にいま〜す。」 これは、1周パスできるかもしれないと思うなど、余裕の走りだったが、10周を超えたあたりから脚が動かなくなって来て、「ナスくんは?」「割と快調に走ってま〜す。」 まずい、逆にパスされそうだ。 応援してくれる人が見てもはっきりわかるくらいにペースがみるみる落ちてきた。12周目からは、12分前後のラップになってしまった。前半の貯金がみるみる無くなって来た。

最初は完走はあたりまえ。自分なりにいい記録を出そうと思っていたが、痙攣が始まった時点で、記録はともかく、まあ完走は問題ない。と変わった。それが、12分台になり、このままだと4時間完走も危ない。自転車乗りながらでも計算できるくらいのピンチだ。応援の2人もはっきりこれは完走も危ういということに気が付いているらしく、「おんせんさ〜ん。ガンバって〜!!!」「前に付いて行け〜!」などと悲鳴や命令が飛ぶ。それがさ〜。ついて行けないのよ。もう脚が動かなくて。どうしましょ〜。という感じ。応援に笑顔で応えることもできない。

まずい。とにかくガンバルしかないと思いながら、そろそろ補給するタイミングだなと、2時間半くらいのところで、まず、あんパンを食べる。あ、なんだか気持ち悪くなって来た。この感じは、武蔵五日市でハンガーノックになった時と同じだ。その時はこのバテがハンガーノック(エネルギー切れ)によるものだとは思ってなかったので、予定通り食べただけだったが、後で考えるとこれはハンガーノックだったんだ。

[16周目--22周目(最終周回)]

その後パワーバーとジェルを採る。なんだか元気が出てきた。精神的にも余裕が出てきて、シケインは、シケイン前の下りから登るところで、あまり減速しないでアウトから入り、その後の坂の途中まで勢いで登るというような工夫をしたり、下りでは、自分が結構早いことに気が付いたりもした。

それまでは、女性だろうとなんだろうと、他の人についてゆくことが出来なかったけど、復活してからは、女性も含む何人かに付いていったり、場合によっては引いたりもした。ちなみに、この大会の女性は強い。途中でスタートの時に弱音をはいていた女性にもあっさりとパスされた。多少なりとも自転車に自信を持っていたのですが、それほど早そうでもない女性にもかなわない現実をまざまざと見せつけられた。トライアスロンでは、女子選手は追い抜く対象だったが、ここではオシリに付く対象になってしまった。「へー、こんなレーパンもあるんだ〜」とか「この人、半ケツだけど、レーパンもローライズってあるのか?」なんて思いながら走る。

いままで比較的平坦なトライアスロンに出ただけなので、初の本格的な自転車レースの今回は、いくつかの発見があった。

●私は、登りはめっぽう弱い。ドンドン抜かれてゆく。これまで、結構峠のトレーニングを重ねていたけど、自分の相対的な実力がわからなかったけれど。これではっきりした。登りはダメだ。
●下りは、なぜか早い。ただし、単にダウンヒルの様にまっすぐ下る場合の話。前傾姿勢で、ペダリングをしないで、下ってゆくと、前をゆくこいでいる人を楽々パスできたりする。どうも下りでの体重の乗せ方がよいみたいだ。
●平坦は、まあ普通。

登りの弱さが、痙攣のため脚が動かないのならまだよいのですが、どうもこれが実力みたいだ。下りが強くても大して差は付かない。ロードレースでは、やっぱり勝負は登りだ。これからの道のりがまた遠くなったな〜。根本的に脚を鍛え直さないとだめだ。

さて、ハンガーノックから復活してラップは、いつのまにか10分前半で安定してきた。危機は去った。そしてあと1周となった。そのころはコース場も大分人が少なくなっていた。トップ集団は、1時間以上前にゴールしている(信じられない!)。残っている人は、もう我々のような遅い人ばかりだ。最終周回で私のちょっと前をハラヒロがお世話になっている輪千レーシングの選手を見つけた。下りを利用して、あっさりパス。よし、最後は、この人に負けないように頑張ろうと思いクルクル回す。そして最後の坂。いきなりパスされる。なんとか食らいついて行こうとするが、ダメ。あっという間に50m以上の差がついた。しょうがない、最後の直線で勝負をかけようと最終コーナーを立ち上がるが、輪千の黄色ジャージは、豆粒のように見える先を行っている。あちゃ〜。これじゃ追う気にもならん。

[ゴール]

結局最後は、ゴールまえで1人スプリント、知らない誰か1人を車輪の差ぐらい差したところでジエンド。長かった。ゴール後は、立てないかもしれないなと思いつつピットに帰ったが、割と脚はしっかりしていた。さっき先にゴールした黄色ジャージの方が近づいて来て「大丈夫ですか」と言うじゃないですか。ちゃんとしているつもりでも、どうも見た目はヨレヨレで、歩くのがやっとに見えるらしい。恐るべし100キロマラソン。

最終的には、3時間41分で完走。平均時速が27キロなんで、まさに目標ピタリということなのですが、内心はその上を目指していたことと、回りがあまりに早い、そして強いので、自分の実力をはっきりと示されてガツンとやられた感じ。2回のトライアスロンの時は、同じ「想定内」でもまわりと大体同じということだったが、今回は、違う。これは出直しだ。なんとか来年は、気持ちよく完走できるようにこのヘタレ脚を鍛え直すことにしないとね。おしまい。


by onsen | 2005-10-02 19:46 | おんせん
< 前のページ 次のページ >